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2011年11月16日 水曜日

借入で必要な事業計画書の作り方  減価償却編

建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産(減価償却資産といいます)は時の経過等によってその価値が減っていきます。

この減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、 その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていきます。この使用可能期間に当たるものとして、法定耐用年数が法令で定められています。
つまり、減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を、一定の方法によって、各年分の必要経費として配分していく手続をいい、この必要経費のことを減価償却費といいます。

もう少しわかりやすく言うと、こういうことです。 
200万円で仕入れ等に使う車を購入するとします。この200万円を、全額購入した年の経費で処理した場合、その年の利益は200万円減ってしまいます(場合によっては赤字になります)。購入した年に全額経費にしてしまうのですから、翌年以降は、前々年の車がなかったときと同じ損益の状態になります。これでは、正しい業績を表しているとはいえません。車というものは、購入した年の翌年以降も使い続けるものですから、使う期間で按分して経費化していく方が合理的です。

減価償却費の算出方法には、定額法と定率法の2つがあります。ただし、原則として、建物には定額法しか適用できません。また、建物附属設備(給排水、ガス設備等)以外の内部造作にも、定額法しか適用できません。
個人事業の場合は、定額法が原則ですので、定率法を適用したい場合は、翌年3月15日までに税務署へ届け出なければなりません。

下記の計算式をご覧いただくとわかりますが、定額法は毎年均等額を償却費として計上します。一方、定率法は最初の年の償却費が一番大きく、翌年以降徐々に少なくなっていきますので、定率法の方が、早く資金回収を図ることができます。


<定額法の計算式>
 減価償却費=取得額×定額法の償却率
 

<定率法の計算式>
(1)減価償却費が一定の計算式によって計算した償却保証額を上回る事業年度までは
 減価償却費=未償却残高(取得価額―償却費の累計額)×定率法の償却率 

(2)減価償却費が償却保証額を下回った事業年度以後
減価償却費=改定取得価額(下回った最初の事業年度の期首帳簿価額)×改定償却率

どちらも最後に1円だけ帳簿に残します(備忘価額といいます)。
なお、定率法の計算式は少々複雑ですので、専門家にご相談されると良いでしょう。

東京などの主要都市にある繁華街で出店するお店は、減価償却年数や借入期間をできるだけ短期に設定しています。
この理由としては、主要都市の繁華街は繁盛期が短い恐れがあるため、できるだけ早く減価償却を済ませて、資金回収を早期に行い、その資金を繁盛期が終わった段階でリニューアル資金に振り向けたり、2号店を出店する資金に当てて、企業規模を拡大するといった戦略をとっています(税務申告は、法定耐用年数によって計算する必要があります)。

例えば今流行の居抜き店舗を上手く活用して、お店を繁盛させると、投資額が安いため借入金を早期に返済でき、なおかつ、減価償却年数も比較的短期間というメリットもあり、効率的に稼げる事業となるのです。是非一度検討してみてはいかがでしょうか?

次回は売上高予測です。


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投稿者 杉田浩二税理士事務所